人事担当者

日本の企業では、長く終身雇用や年功序列制度が導入されていました。しかし、近年の社会環境や経済環境の急激な変化によって、年功序列制度を見直して、人事評価制度を導入する企業が増えています

今回は、人事評価制度とはどのようなものか導入する際の進め方とポイントをご紹介します。

人事評価制度とは

人事評価は、社員の能力や企業や組織への貢献度、担当する職務について評価することです。この評価を昇進や昇格、報酬などに反映させることを「人事評価制度」といいます。自社に適切な人事評価制度を導入することで、社員のモチベーションを向上させる効果が期待できます。導入を検討する際には、まず人事評価制度の目的や効果、評価の種類について理解しましょう。

人事評価制度の目的と役割

社長と人事部の会議
企業が人事評価制度を導入する目的としては、主に次の3つが考えられます。

待遇を決定する際の根拠

日本の企業では、長く終身雇用と年功序列の制度が取り入れられてきました。これらの制度が戦後の高度成長期の企業を支えたといえます。しかし、社会環境や経済環境が劇的に変化して、徐々に欧米の成果主義を取り入れる企業が増えてきました。

人材育成計画の基準

人事評価制度は、社員の能力や貢献度を評価することから、企業が期待する業務遂行能力がどのくらい身についたかを測り、課題を明確にすることができます。評価を社員本人にフィードバックすることで、具体的な目標を持つことができ行動を起こしやすくなります

適切な人員配置

人事評価制度によって、社員一人一人の能力や強み弱みを把握することで、最適な人員配置を行うことができます。また人事評価制度を運用する際に、経営理念や行動指針、求める職務能力などを定めることで、自社に必要な人材が明確になり採用活動に活かすことができます

人事評価制度の種類

人事評価
実際に人事評価制度を導入する際には、何を基準にして評価したら良いのかや、評価の方法を決定する必要があります。主な人事評価の手法をご紹介します。

能力評価

能力評価は、担当する職務に必要な知識やスキルを持っているかなどの能力をベースに評価する手法です。例えば、職務に関連する資格の保有も評価の対象となります。また、保有している能力だけでなく発揮された能力として業績も加味して評価するのが一般的です。

業績評価

業績評価は、会社の売上や利益などの業績に対してどのぐらい貢献したかを測る評価手法です。一般的には目標に対しての成果(実績)で評価するため、客観的な評価が可能です。職種によっては業績を数値化することが難しいといった課題があります。

行動評価

行動評価とは、「自社の社員としてあるべき行動」や「優秀な社員をモデルとした行動」を基準化して、その行動が実践されているかどうかを評価する手法です。導入する多くの企業では業績評価など他の評価と組み合わせて導入しています。行動評価には、基準が曖昧になりがちであったり、モデル行動が成果につながらないなどの課題が発生する可能性があります。

情意評価

情意評価とは、仕事に対する意欲や仕事に取り組む姿勢、勤務態度を評価する手法です。評価を数値で表すことができない、正確に評価するのは非常に難しいですが、社内のモチベーション向上や、今後の成長に対する期待を測ることができます。一般的には、成果やスキルでの評価が難しい新入社員や若手社員の評価に用いられます。

多面評価(360度評価)

多面評価とは、上司だけでなく、同僚や部下など複数の評価者からの評価を取り入れる手法です。上司だけの評価では、評価対象者を一方向からだけ見て評価することになりがちです。そのため見落としてしまうことも多くなります。多面評価では、複数の人から評価されるため強みや弱みを洗いだすことができます。また、上司以外の評価者がいることから、評価に対して納得しやすいといったメリットもあります。

人事評価制度の作り方と進め方

では、実際に新たに人事評価制度を導入する際には、どのように進めたらよいのかを解説します。

人事評価制度を導入する目的を決める

人事評価制度の目的については前述しましたが、自社がなぜ人事評価制度を導入するのか、その目的を明確にしましょう。多くの企業では人事評価制度を「社員の給与を決めるため」や「昇進や昇格の判断基準」といった処遇の根拠として導入しています。しかし人事評価制度の最終的な目的は企業や組織の業績向上です。将来を見据えて自社に必要な人材像を明らかにして、社員を計画的、効率的に育てることが主たる目的であれば評価基準や項目が違ってきます。

評価基準や項目を決める

次に人事評価制度を導入する目的に合わせて評価基準や評価する項目を決定します。決定した基準や項目は、社員に提示する必要があります。この基準が社員に伝わっていない状態で評価を行うと、社員が評価に納得できず不満を持つ可能性があります。

評価者への研修を行う

評価を公平に行うには、評価者によって評価の違いが生まれることをできるだけ避ける必要があります。評価にバラツキが生じないように、評価者に対して研修を行って評価基準を統一させることが重要です

人事評価制度を作る際のポイント

人事評価制度を作る際には、次の点にも注意しましょう。

現場の運用が容易である

人事評価制度を導入しても、評価に手間がかかり現場に負担をかけて過ぎてもいけません。人事評価制度を作る際には、現場での運用が容易であるかどうかもチェックしましょう。

評価の信用性がある

人事評価制度で一番重要なことは、評価に信用性があるかどうかです。信用性がなければ不満を招く結果となります。導入後も適正に評価ができているかどうかを、定期的にチェックして、問題があるようであれば基準や評価方法を見直しましょう。

処遇の結果に納得性がある

人事評価の結果と処遇は正しく連動していなければ社員が不満を持つ原因となります。評価の低い人が高い人より先に、昇進・昇格したり昇給したりすることがないように運用することが大切です。

自社にあった人事評価制度を導入して組織を成長させよう

人事部のミーティング
今回は、人事評価制度の目的や役割、評価の種類やポイント、導入の進め方など紹介いたしました。

自社に合った人事評価制度を導入して運用することで、自社に必要な人材像を明らかにして社員を計画的、効率的に育成することができます。

組織を活性化して成長させるために人事評価制度の導入を検討してはいかがでしょうか。

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