お酒を強要している上司

飲み二ケーション』という言葉をご存じですか?

今は死語になっているかもしれませんね。

昭和の時代に良く使われた言葉で、お酒を飲みながらコミュニケーションをとることです。会社から離れておこなわれることから、無礼講も多く上司や部下といった関係性を超えて会話ができるとされています。

しかし、現代ではこの『飲み二ケーション』がパワハラになる可能性がありますので、要注意です。

おすすめのハラスメント研修

ハラスメント研修

ハラスメントは現在70を超える種類が存在しています。ハラスメントを起こさない、起こさせないために、企業全体でハラスメント研修を通して正しい知識と行動喚起を進めていくことが大切です。


飲み会の強制参加がパワハラになり得るケース

弁護士
社内の飲み会が毎月のようにあり、基本的に全員参加となっている。

飲み会では上司の近くになった社員は否応なく飲まされるため、誰も近くに座りたがらなくなっていたが、そのことに上司は気づいていない。

上司にお酒を勧められて断ると、不機嫌になるばかりではなく、仕事に絡めた嫌味を言われることがある

酒ぐらい飲めないと男はダメだぞ

ノリが悪いやつだな

酒のひとつも飲めないんだから、仕事もたいしたことできないんだ

上司の酒を断るなんて、お前も偉くなったな

飲まなかったら場がしらけるのがわからんのか!

など、無理にお酒を飲ませようとしていた。

強制されて飲んだ社員が体調を崩すこともあったが、その様子を見てバカにしたり、「だらしがない」と怒ることもあった。

社員の中には、翌日は二日酔いで仕事に支障をきたすこともあり、飲み会の日は出社したくないと思うようになっていた。

また、参加を断ったり、お酒を断ることが続く社員を無視したり、ささいなミスでも強く叱責するなど、他の社員との差別もある

飲み会の強制参加がパワハラになるポイント

お酒を強要され断る女性社員

パワハラは『職場内』『業務内』というのがポイントになります。この例では飲み会の席というのが、大きなカギです。

飲み会も業務内

飲み会は社外でおこなわれるため、職場内や業務内に当たらないのではないかと思われるかもしれませんが、職場が主体となっている場合は、仕事の延長と捉えられる可能性が高くなります

そのため、飲み会は全員参加というだけではパワハラにはならないこともあります。しかし、飲み会の席でも部下に対して度を超える言動は、立派なパワハラになり得ます

お酒が入ると気持ちが大きくなり、いつもよりも大胆な言動になる人もいますので、注意しなければなりません。

業務以外のことで評価する

仕事の評価は仕事の成績や実績でおこなうもので、飲み会での言動は関係がありません。飲む社員と飲まない社員に差をつけて接することも、あってはならないことです。

飲み会と関連させての圧力や嫌がらせは、パワハラと言われても仕方がありません。

飲酒により体調を崩す

コミュニケーションが苦手な人、仕事とプライベートをしっかり分けたい人、そもそもお酒が飲めない体質の人は飲み会が苦手です。なにより、お酒を飲めない人に無理に飲ませると、体調不良を起こす可能性があります。

苦手な状況を強要され続けると、身体的、精神的苦痛が増し、仕事に行くこと自体がつらくなってしまいます。

飲み会パワハラが起こりそうな時の適切な対処方法

会社の後の飲み会

まずは社内や社外の相談窓口に相談をすると良いですが、幹事さんが中心となって楽しい雰囲気のままお開きできるように、それぞれができることを行動するという方法もあります。

アルコールが入ると勢いづいてしまい、パワハラをしている人を止めることは難しく感じるかもしれませんが、その方法を3つご紹介します。

相談窓口についてはこちらの記事を参考にしてください⬇

飲める人がすべき対処方法

ある程度お酒が飲める人は、飲めない人と勧める人の間に入るようにするのが望ましいです。

しかし、毎回間に入ると飲める人もパワハラのターゲットになる可能性がありますので注意が必要です。

上司の様子を動画や写真に記録しておくと、パワハラの証拠になります。無理強いされている様子や、飲み会のことを引き合いに出して叱責している様子を残しておきましょう。

飲めない人がすべき対処方法

上司の目の届かないところに座るのが良いのですが、ターゲットになっている場合は近くに呼ばれてしまうことが多いため、難しいですよね。

そのような時は、その場を逃げ切るために酔ったふりをします。「明日何を言われるかわからない」と逃げられないと諦めずに、まずは今の状況から逃げることを優先しましょう。

自分の体を守るために、参加を断ることも必要です。

幹事がすべき対処方法

席順を考慮するのも必要ですが、状況によっては少し早めにお開きにする、飲めない人には上司にわからないようにソフトドリンクを渡すなどの対応が良いです。

参加者が断りやすい誘い方、途中退席しやすい宴会の進め方なども考えておくと良いでしょう。

幹事はただでさえ大変な役割ですので、複数人数で手分けをするようにすると負担が減ります。

飲み会に無理やり誘うなどのパワハラを起こさせないために

ランチミーティング
パワハラが起きた時に適切な対処をするのはもちろんですが、パワハラを起こさせないような努力も必要です。

社内のコミュニケーションは仕事をする上で大切ですので、みんなが楽しく参加できるような工夫をしましょう。

飲み会は任意参加

忘年会や歓迎会、送別会など、仕事の延長となり得る飲み会は全員参加でも良いですが、直接仕事に関係のない飲み会などは、自由参加とするルール作りをするのが良いです。

暗黙のルールではなく、文章化しておくことで誰もが理解しやすく、強制されても断りやすくなります

スマートな断り方を覚える

上司や先輩に飲みに誘われると断りにくいと感じている人は多いものです。しかし、自分を守るためには断る勇気も必要です。

行きたくないからと言って、あからさまに態度に出すのではなく、上手に断るとその後の関係も良好に保てます。断った後に「次回楽しみにしています」「また誘ってください」という言葉を付け加えるとより良いです。

当日誘われた時

・先約がある
・体調が悪い
・家族との都合(子育て、介護、体調不良、記念日)

などの理由を伝えましょう。

飲み会参加を強制的に迫ってくるような上司に限っては、家に帰るのが嫌だと感じている傾向があります。寂しいから部下との時間をできるだけ長く過ごしたいのです。
そんな上司には、家庭の事情で「自分が帰らなければ大変なことになる」ということを説明することは大事です。

もちろん上司側は、部下の状況をしっかり理解しなければいけません。勤務時間外まで自分の欲望のままに部下をコントロールするのは大きな間違いです。

事前に参加確認がある場合

・先約がある
・家族との都合(子育て、介護、体調不良、記念日)

などの理由が断りやすいのですが、すぐに返事をするのではなくいったん保留にして、スケジュール調整をしたふりをするようにすると印象が良くなります。

事前に断っている場合は、くれぐれも当日は残業をしないように気をつけてください。

飲み会以外の方法を考える

仕事の打ち上げや親睦会などは、飲み会ではなく昼食会にする、社内でデリバリーをしておこなうなど、アルコールがなく短時間で終われる場もあると良いです。

お酒が好きな人は物足りなさを感じるかもしれませんが、飲めない人が飲める人に合わせる必要はありませんので、たまには飲めない人に合わせるイベントを開催しましょう。

https://keysession.jp/media/harassment-training/

おすすめの記事