働く人の大きな悩みのひとつに人間関係があります。
部下や上司に対して、もっと自分の意見を上手に伝えられたら・・・と思うことは1度や2度ではないと思います。
コミュニケーション手法のひとつである、アサーティブ・コミュニケーションを意識して取り入れることで、このような思いや人間関係の悩みから解放されます。
ここでは、アサーティブ・コミュニケーションの基本を解説していますので、ぜひ職場で活用してください。
目次
アサーティブ・コミュニケーションとは
アサーティブの語源はAssertivenessで、相手に配慮した自己主張という意味です。
この考えは、アメリカの人権擁護運動が土台となっており、1960年代以降に発展していきました。
現在ではビジネスの世界でも、相手を尊重するコミュニケーションスキルとして注目を浴びています。
世界を見ても、日本人は自己主張をしない(できない)とされています。
ゴリ押しのような自己主張は対立の原因になりますが、最低限の自分の権利や主張は伝えるべきです。
アサーティブ・コミュニケーションは、伝え方や話し方を覚えるだけで、誰にでもトレーニングをするとできるようになるコミュニケーション方法です。
コミュニケーションの3つのパターンと会話例
自己主張をする時、3つのコミュニケーションパターンが存在します。
言い方ひとつで、伝えている人や内容の印象が変わりますし、受け取る側の心の状態にも影響が出てきます。
アグレッシブ
攻撃的な自己主張タイプです。
特徴
・自分の意見を大切にし、他人の意見を聞こうとしない
・相手より優位に立とうとするマウンティングの傾向がある
・自分の要求が通らないと過剰に反応する
会話例
A氏「来月の会議の仕切りを頼みたいんだけど」
B氏「えっ?私ですか?無理です」
A氏「やってくれる人がないくて困っているんだよ」
B氏「何度言われても無理です!」
自分の意見を無理にでも通そうとして、時には非理論的とも取れる主張をしてくることがあります。
上司がこのタイプの場合は、パワハラと捉えられてしまいます。
ノンアサーティブ
主張ができず周りに振り回されるタイプです。
特徴
・相手の言動を優先して行動する
・自分の意見を表現できない
・ストレスを溜めやすい
会話例
A氏「来月の会議の仕切りを頼みたいんだけど」
B氏「えっ?私ですか?(心の声:そんなの無理だよ、仕切りは苦手だし)」
A氏「やってくれる人がないくて困っているんだよ」
B氏「そうなんですね。わかりました(心の声:あぁ、言っちゃった・・・)」
頼まれごとをされても嫌と言えず我慢し、ひとりで抱え込んでしまうことが多くあります。
部下がこのタイプの場合、上司にとって都合の良い部下という印象になってしまいます。
アサーティブ
柔らかく自分の意思を表明できるタイプです。
特徴
・自分の意見も相手の意見も尊重できる
・双方が納得できる答えを出そうとする
・意見が違うのが当たり前と考えることができる
会話例
A氏「来月の会議の仕切りを頼みたいんだけど」
B氏「えっ?私ですか?仕切りは苦手なので、どなたかもう一人担当者がいてくれるとできそうなのですが」
A氏「そうか。じゃあもう一人誰かにお願いしてみるよ」
B氏「はい、よろしくお願いします。」
自分の意見を通すか、相手の意見を通すかという観点ではなく、どちらの意見も取り入れた答えを導こうとします。
どのような相手にも理論的で適切な対応ができます。
アサーティブ・コミュニケーション4つの柱
アサーティブ・コミュニケーションには、効果を高める4つの基本柱があります。
これらを理解することで、自分の要望も相手の意見も考慮することが可能になります。
誠実
自分に対しても、相手に対しても誠実であることが大切です。
自分の感情を隠す必要も、相手に我慢を強いることもあってはなりません。どちらかの意見だけに従うのではなく、お互いの意見や価値観を擦り合わせていきます。
対等
上司と部下、同僚同士、営業マンと顧客、どのような関係でも対等でなければなりません。
職場では、年齢や役職などにより上下関係ができており最初は慣れないかもしれませんが、話し合いをする時は『ひとりの人間として接すること』が大事です。
率直
自分の意見を伝えるときに、遠回しな表現ではなく、率直な思いを言葉で具体的に伝えることが必要です。
「他の人も言っている」「みんながそう思っている」など、第三者を持ち出さずに、自分の意見として正直に伝えることで、効果的な話し合いができます。相手が上司や先輩だとしても遠慮は無用です。
自己責任
アサーティブ・コミュニケーションを使ったからといって、100%思い通りの結果になるとは限りません。どのような評価を受けることになっても、冷静に受け止める必要があります。
伝えたいことが伝わらなくても、相手に責任はありません。誰かを責めることは必要ないのです。

アサーティブ・コミュニケーションのメリット
ひとりひとりがアサーティブ・コミュニケーションスのキルを習得することで、組織全体として大きなメリットがあります。
職場内のコミュニケーションが活発になる
お互いの意見をすり合わせることが前提にありますので、自分の意見を伝え、相手の意見も聞くようになり、相互理解が深まります。
相手が何を考えているかわからない、こちらの意図が伝わらないというコミュニケーションギャップを避けることができますので、業務もスムーズに進みます。
自信が持てるようになる
自己表現ができるようになり、要望が取り入れられると、意見を言っても良い、気持ちを理解してもらえていると感じることができ、自分に自信が持てるようになります。
自信が出てくると自然と仕事へのモチベーションも上がり、業績アップにもつながります。
ストレスが減る
先にも述べましたが、人間関係やコミュニケーションの悩みは尽きません。
人間関係が良くなり、自分に自信が持てるようになると、仕事に関するストレスがひとつ減ります。アサーティブのやり方を学び実践することは、働く人にとって大きなメリットになります。
アサーティブスキルで快適な職場を作る
アサーティブ・コミュニケーションは理論を知っただけ、一部の社員だけができても意味がありません。職場全体で実践し、活用し続けることで良い効果を生みます。
個々で勉強するのではなく、研修をおこないロールプレイングを通して練習を繰り返すことで、理解しやすくなります。
研修の企画会社では様々な内容を企画してくれますので、ぜひプロの力を借りてアサーティブを組織に根付かせてください。