アンガーマネジメント怒りとの上手な付き合い方を身につける

怒りのコントロールを可能にするアンガーマネジメント。
2020年6月に『パワハラ防止法』が施行された背景もあり、近年とても注目されています。

  • 部下に対していつも怒鳴っている
  • いつもイライラしていて周りの雰囲気を悪くしている

このような役職者や社員に心当たりがあるなら、アンガーマネジメントの教育が急務です

なぜなら、”怒り”はパワハラの原因となりうる事はもちろん、社内のパフォーマンスを低下させるからです。

下記のデータは、上司に怒られた後の業務状況についてアンケートをとった結果です。約8割以上の社員(部下)が業務状況が変わったと答えています。

怒りについてのアンケート結果
参考:一般社団法人日本アンガーマネジメント協会『6月病対策必見! 新・管理職の方は「怒り方」に要注意!?』より

パワハラ対策だけでなく、仕事の効率を下げないためにも、アンガーマネジメントは有効ということなのです

⇒パワハラ防止法により明確になったパワハラの定義と企業の義務についてはこちらをチェック!

アンガーマネジメントとは

部下へ怒りを感じている上司
アンガーマネジメントとは、怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニングをいいます。

アメリカでは1970年代から注目されるようになり、日本にもその流れが起こり、今では企業だけではなく、学校教育、子育て、介護の分野など幅広く活用されています。

アンガーマネジメントでは怒らない方法を学ぶのではなく、怒った時の対処や沸点を低くする方法、怒る場面と怒らない場面の区別方法などを学びます

怒りは誰の中にもある感情で、生きていくためには必要です。怒りを持たないようにするのではなく、自分の感情は自分で管理しましょうということです。

怒りを感じやすい人の特徴

部下からの電話にイライラする女性社員
仕事で怒りを感じている人は9割に上り、怒りを覚える対象は上司を始めとした人間関係です。

怒りへの耐性は幅があり、少しのことでも怒りを感じてしまう人、よほどのことがないと怒らない人がいます。怒りを感じやすい人には次のような特徴があります。

参考:一般社団法人日本アンガーマネジメント協会”社会人の『怒り』に関するアンケート調査発表

思い込みが強い

相手のリアクションや感情を先読みしすぎてしまい、「こうなるだろう」「こういう反応がかえってくるはず」「こうに違いない」と思い込みが強い人は怒りを感じやすくなります。

想像と現実のギャップを生みやすく、少しのギャップでも思い通りにならなかった時の落胆が大きくなります。この落胆が怒りとなって表に出ます。

承認欲求が強い

がんばりを認めてもらいたいと思うのは当たり前のことですが、この気持ちが強すぎる人は怒りを感じやすくなります。

褒められること、認めてもらうことが仕事へのモチベーションに直結する傾向にあり、正当な評価が得られないことで自分を否定された悲しみを怒りとして表現します。

自分なりの正義を持っている

まじめな人ほど怒りを感じやすくなります。

努力をしない人、ルールを守らない人、やる気が感じられない人に対して特に怒りを持ちます。自分の常識や自分が考える正義と合わない人は敵となってしまうのです。

完璧主義

自分に厳しい人は怒りやすい傾向にあります。

自分に対して理想が高く、自分の期待に応えられないことに対して不甲斐なさを感じ怒りとなります。

このタイプは人にも完璧を求めることが多く、優柔不断な人や目標を持たない人を見るとイライラを隠せません。

https://magazine.keysession.jp/control-anger/

アンガーマネジメントが注目される理由

アンガーマネジメントが注目される理由は、怒りをコントロールできるようになると、仕事にもプライベートにもたくさんのメリットがあるからです

怒りについての知識が深まる

怒りのメカニズムについて詳しく知っている人は多くありません。なぜ怒りの感情が湧くのか、どうしたら収まるのかを知ることで、怒りの感情を否定せずに付き合っていくことを考えられるようになります。

具体的な行動がわかる

自分が怒った時だけではなく、相手が怒った時の対処方法を知ることができます。

自分のイライラを鎮められずに余計にイライラすることを回避できますし、相手が怒っている時は冷静に対応できるようになります。

間違った対応をすると火に油を注ぐ結果になり兼ねません。適切な対応は今後の人間関係や仕事に影響を与えますので、知っていて損はありません。

自分の思考の癖に気づける

怒りにはタイプがあります。自分がどのタイプに当てはまるかを知ることで言動の癖が明確になります。

癖がわかるとイライラする環境を避けることができますし、これまでの思考や行動のパターンを変えることも容易になります。

何より自分がなぜ怒っているのかの理由がわかるようになりますので、気持ちがスッキリします。

人間関係が良くなる

怒りをコントロールできるようになると、人前で怒ることが減ります。穏やかで明るい人には人が寄ってきます。

怒りと同じように笑顔も伝播しますので、周囲と良い関係性を築けるようになります。仕事はひとりではできませんので、協力体制が作れる関係性が必要です。

生きるのが楽になる

怒りへの沸点が低いと、小さな怒りの種も見逃すことなく拾い上げてしまいます。イライラはストレスとなりやすく心身の疲れを増長します

怒りのコントロールができるようになると、気分転換が上手になり、穏やかな時間が増え、心身ともに軽くなります。

パワハラ防止になる

怒りを感じて思わず口にしてしまった言葉には、「バカ」「いい加減にしろ」「ムカつく」「辞めてしまえ」「あり得ない」などがあります。

「死ね」と言ってしまう人も多く、感情が抑えられないと仕事に多大なる影響を与えてしまうことになります。

そしてこれらの言葉はパワハラと捉えられる言葉でもありますので、社内のパワハラ予防としてもアンガーマネジメントは役立ちます。

アンガーマネジメント3つの実践

コーヒーを飲んでリフレッシュする男性社員
アンガーマネジメントのポイントは3つ。これらを実践することで怒りをコントロールすることが可能になります。

6秒耐える

怒りはそれほど長くは続かず6秒がピークです。この時間をやり過ごすことができれば、後は怒りの感情が下降していきます。

深呼吸をしたり、可能であればその場を立ち去る、6秒をカウントダウンするなど、ピークまでの過ごし方を考えましょう。

『~べき』と決めつけすぎない

『こうあるべき』という自分ルールが誰にでもあります。自分なりのスケールを持っているのは良いことですが、閾値(いきち)が狭いと現実とのギャップを感じやすくなり怒りの原因になります。

自分と違う考え方、行動様式もあることを受け止めることが大切です。理解しなくても「こういう考えや行動をする人がいる」と思えるだけでも良いのです。

自分ができることに注目する

自分ではどうにもできないことに対して怒り続けていても解決されません。怒っている原因が自分で対処可能なものかを判断します。

自分ではどうにもならないことの場合は、割り切ることが必要です。そして今置かれている状況で自分がどんな行動ができるかを考えるようにします。

例えば、気分転換に公園に行こうと思った時に土砂降りになったとします。天気は自分ではどうにもできないことですので、他の気分転換方法を考えて行動するということです。

目的を達成するほかの方法を考えるとも言い換えられます。

怒りは自分でコントロールできる

笑顔があふれる職場
怒りを持つことがいけないのではなく、感情に振り回されることがいけないのです。怒りはトレーニングをすると自分でコントロールでき、上手に付き合うことができます。

怒りを正しく知り自分の特性にあった行動をすることで、パワハラとなりうる言動を防ぐことができます。また、職場のパフォーマンスの低下を防ぐこともできるのです。

相手に対する思いやりだけではなく、自分自身のためにもアンガーマネジメントは有効であり、ストレス社会を生き抜く社会人の必須スキルとなっています。

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